それでもキミが好きなんだ



「ナツ……?」


目の前に現れたのはバスケの練習をしているはずのサキだった。

な、何してるの……?

というか、今こんな姿を見られたくない。
絶対めんどくさいことになるに違いないから。


「こんなところでなにしてんの……って泣いてんじゃん」


私の元に駆け寄ってくると、地面に座っている私と視線を合わせるためにサキがしゃがむ。

額には汗が伝っていて、いつもはサラサラな前髪が汗で額にはひっついている。

その瞳から心配してくれていることが痛いほど伝わってくる。

だけど、私はその言葉に左右に首を振る。
まったく説得力がないって分かっているけど今またサキの優しさを感じたら本当に諦められなくなる。

諦めないだとか想い続けるとか言っていたけど、本当はもう限界まできていた。

琴音がたくさん泣いているところをみて余計にそう思ったんだ。私のこの気持ちは誰かを不幸にするだけなんじゃないかって。

偉そうに諦めないとか言っているけど、叶う見込みだってないのに想い続けたって無駄なだけなんじゃないかと思ってしまう。