だけど、やっぱり優しくしてしまう私は琴音のことが好きで好きでたまらないんだ。


「……だ、れ……っ?」


私はその問いかけには答えなかった。
だって、答えたら琴音は泣くのをやめてしまうと思ったから。

だけど、体操服できたのが間違いだった。
胸元に苗字が書いてあるため、すぐにバレてしまい、突き放されてしまった。


「……なにしてんのっ?」

「……まだあんなことされてたの?」


そう言いながら頭に乗っかったままの草を取ろうと手を伸ばすけど、バシッと叩かれ跳ね返されてしまった。

行き場を失った手を私はそっと下ろし、体操服のズボンをぎゅっと強く握った。

どうやっても私と琴音はもう仲良く出来ないのかな?


「あんたには関係ないでしょ……!?
欲しいものがなんでも手に入って、みんなからも好かれるあんたになんて……私の……こんな惨めで醜い気持ちが分かるわけない……っ!!!」


ギッ、と鋭く私を睨むその瞳からはポロポロと透明な雫がこぼれ落ちていた。

その表情はとても酷く歪んでいて、『助けて』と叫んでいるように思えて仕方なかった。