「それにしても……暑いなあ」


今日の最高気温は39度だと天気予報で言っていた。

額を流れていく汗を首にかけてあるピンク色のタオルで拭いながら必死に草を抜く。


「ハハッ…!あんたにはこれが似合ってるわあ。
後始末よろしくねー」


そんな言葉が聞こえてきたと同時に体操服をきた先輩たちがこちらに向かって歩いてきた。

あの顔……見たことがある。嫌な予感がした。

私は何も考えずにただ先輩たちが歩いてきた道を走った。すると、しばらく走った先に汚い草を頭から被った琴音が一人で声を押し殺して泣いていた。

その姿を見た瞬間、いつかの自分を見ているような気分になってとっさに彼女を抱きしめていた。

あんなに邪魔だと思っていた琴音を私はまた優しくしてしまっている。