サキがいたから、頑張って踏ん張れて今を生きていられている。

きっと、君がいなかったら私はもうとっくに限界がきて、この世界に存在していないだろう。

サキだけが私の瞳の中では、特別輝いて見えて彼だけが欲しくてたまらない。

だけど、手に入らない。それが痛いほど分かっているのにこの気持ちは消えてはくれない。

好きなのに苦しい。いや、好きだから苦しい。
伝えたいのに伝えられない。

もどかしい想いが込み上げてきてビー玉を握りしめている手を咄嗟に上へあげた。

このまま海に投げ捨ててしまえば少しは君への想いが薄れてくれるかな。あの頃の思い出も全部消し去ってくれるかな。

だけど、そのまま腕を動かすことはできなかった。
私は捨てられなかった。

悔しくて、たまらなく手に入れたくてぎゅっと目を瞑ってそっと手を下ろす。

どうしたら、どうしたら私たちの気持ちは交わるんだろう。その方法があるなら誰か教えてよ。

もうわかんないよ。

このままサキを想い続けても琴音を苦しめてしまいそうで……私の心も壊れてしまいそうだ。

こんなに好きになるなんて、きっともうない。

パンパン、と少し遠くで空を鮮やかに飾る火花。

もう花火始まったんだ……。

咲いては散っての繰り返し。

“もう、昔のようには戻れない。”
そんなことを伝えようとしている、警告のように思えた。


「うぅ……うっ……」


とめどなくこぼれ落ちる涙は君を想う証。

あと、あとどれだけ泣いたら
この想いは君に届きますか?