それでもキミが好きなんだ



幸い、二人は私の存在に気づいていない。

バレてはいけないと思い、なんとか足を動かして健吾の待つ場所に向かおうとするけど、涙で視界が歪んでとてもじゃないけど健吾に会える顔ではない。

仕方ない……メッセージを送っておこう。
いや、電話の方がいいかも。

そう思い、健吾に電話をかける。
ワンコールで出た健吾は少し焦った声だった。


「もしもし、迷った?」

「ううん……っ」

「じゃあ、どうしたの?」


健吾の言い方は決して冷たく言い放つような言い方ではなく、優しくて柔らかく、私の素直な気持ちを落ち着かせてくれるような言い方だった。


「あのね、私……やっぱり帰る。ごめんね」

「……そっか。気をつけて帰れよ。
あと、家に着いたら連絡すること。わかった?」

「うん。ありがとう」


健吾は私に何かあったことを察してくれたんだと思う。たぶん泣いていることだってわかっていただろう。でも何も言わなかったのは私が昔から心配されることが苦手なのを知っているからだろう。