それでもキミが好きなんだ




「もうすぐ、花火だね」

「だね!混む前にちょっとトイレ行ってくる!」

「了解。迷子になるなよ。俺はここにいるから」


健吾の言葉に軽く頷いて私は広場の隅にあるトイレに向かった。

用を済まして健吾のところに向かおうとしたとき、見覚えのある二人が視界に入った。

二人は仲良さそうに手を繋いで人気の少ない場所に向かった。そのあとをつけていくのはダメだって分かっているのに体は言うことを聞いてくれず、結局二人……サキと琴音の後をつけた。

こんなことしたって傷つくだけだってちゃんとわかってる。だけどそれ以上に気になってしまう。


「咲都……」


少し、潤んだ瞳でサキを見つめる琴音。
サキは何も言わずに琴音の顎をすくい上げてから唇を琴音の唇と重ねた。


「っ、」


その光景を目の当たりにしてしまった私はしばらくその場から動けずにいた。

これは当たり前のことだ。
だって、二人は恋人で付き合っているんだから。

だから、だから……

何度、自分にそう言い聞かせたって知らない間に溢れていた涙を止めることは出来ない。