それでもキミが好きなんだ



鋭い視線を感じながらも気付かないフリをする。

ここで向いてしまうのはなんだか嫌だから。
この幸せな気持ちを誰にも邪魔されたくないのかもしれない。


「ねえ、咲都」

「ん?」

「そろそろ、二人で回りたいな」

「あー、いいよ。
ってことで俺ら別行動するわ」


そういったときにサキがチラッと私の方を何か言いたげな顔で見てきたけど結局何も言わずにそのまま二人は行ってしまった。


「行っちゃった……」


もう少し、もう少しだけ一緒にいたかったなあ。
わがままだって分かってるけど気持ちの抑えが効かない。


「咲都、普段はそんなに記憶力良くないのにね」

「だよね」

「でも、たぶん夏葵のことなら
咲都は全部覚えてるよ」

「え?」

「さっきも言ったじゃん。
咲都にとって夏葵は───……」

「そんなことないよ!ほらたこ焼き食べよ!」


私は健吾の言葉を遮って言葉を発した。

聞きたくない。聞きたくない。
聞いてしまったらまた勘違いしそうになるから。