それでもキミが好きなんだ



「いいだろ、別に。
つーか、ナツも否定しろよな」

「なんで否定するの決めつけてるの」

「ナツは健吾のこと好きなの?」


サキの真剣な瞳に気を抜いたら吸い込まれてしまいそう。

なんで……そんなに必死になるの?

私が健吾と付き合ったらイヤなの?
どうしてそこまで否定するの?


「好きだよ。友達として」


そう。友達としてね。
私の好きな人は他でもない、サキなのだから。

私がそう言うとサキはホッとしたような安堵の表情を浮かべて隣にいる琴音に「だってさ。コイツらは付き合わねえよ」と笑った。

そんなサキをみて、健吾が肩を小刻みに揺らしてクスクスと笑って「咲都、必死だな」と言った。

本当になんでそこまで否定しなきゃいけないのか分からないよ。


「うるせえな。別に普通だ」


こんなの、まるでヤキモチを焼いてくれてるみたいじゃん。

やめてよ。期待してしまうから。


「咲都。たこ焼き買いに行こうよ」


サキの服の裾をグイグイと引っ張って屋台の方へ行こうとしている琴音。

琴音からしたらいい気分ではないよね。
私が彼女だったら嫌だもん。