それでもキミが好きなんだ



誰だって、不安や嫉妬心は抱くもの。
現に私だって琴音に対して抱いている。

どれだけ仲が良くても表に出さないだけで相手にイライラしてしまうときや羨ましいとひがんだり、ムカつく時だってあるはず。

別にそれは悪いことじゃない。
だって、人は自分にないものをほしがる。
完璧な人なんてどこにもいない。

完璧な人に思えても実際その人も悩んでいることはあるし、完璧に見えるように必死に努力をしているのかもしれない。

だから、琴音も私もお互い言わないだけで心のどこかでは“羨ましい”と思っている部分があるんだと思う。


「そうか?」


そういったサキの表情は心底気に食わない、といいだけな表情だった。


「思わない?私はそう思うけど。
付き合っちゃえば?
そしたらダブルデートとかもできるし」

「ないない」


琴音の言葉にサキは即答で返す。


「なんでさっきからあんたが答えてんのよ」


私か健吾が答えるならまだしも関係のないサキがさっきからことごとく否定をしている。