ずっと、ずっと、会いたかったよ。


だけどね、心のどこかで
会いたくないと思っていた。


言葉は発さずにブンブンと首を左右に振れば、彼は一瞬切なげに顔を歪ませるとそのまま私をぎゅっと抱きしめた。


久しぶりに香る彼の匂いに安堵してしまい、思わず涙がこぼれ落ちそうになるけど必死にこらえた。


ダメ……泣いちゃダメ。


「嘘つくなよ……。
俺がナツを見間違うわけねぇだろ」


何よそれ。
どこからそんな自信が湧いてくるのやら。


「……」


「ナツ、俺の目を見ろ」


そう言って下げていた視線を無理やり上に向けられて、再び、澄んだ瞳と視線がぶつかり合う。


本当に綺麗な顔してるよね。羨ましい。


昔からよくモテてたからきっと今だってそれは健全なんだろうな。


「俺はずっと待ってたよ。
お前が戻ってくるの」


優しく目を細めて笑いながら言った。
そんなに優しい顔して言わないで。


待っててくれなくてよかったのに。
やっぱり、私はきみに会いたくなかったよ。
だって、こんなにも愛おしい気持ちが溢れ出してきてしまうんだから。


こうなることが分かっていたから会いたくなかった。


「……ほんとあんたって昔から思い込み激しいよね。
私はあんたに会いたくて戻って来たんじゃないし…」