それでも、きっと私はサキ以外の人を好きになれない。
サキだけが、好きで、好きで、たとえ嘘でもいいから「好き」だと一言言われてみたいと思うものだ。
“幼なじみ”
その言葉はいいようでもあり、悪いようでもある。
幼なじみを超えられるかは自分の勇気と努力次第。
だけど、私は勇気が出なくて超えられなかった。
今はもう気持ちを伝えることすら不可能。
「ほんとに昔からずっと好きだよな」
「ほんとにね。自分でも呆れちゃうくらい……」
こんなにも人のことを愛おしいと思えるのはサキだから。
これから先、どんなことがあろうと私はどうしてもサキだけは諦めきれないし、離せない。
一度、離してしまってわかった。
“サキ”という存在の大きさに。
「バカだよね。彼女がいるのに」
「いいんじゃない。好きでいることくらいさ」
健吾はそう言い、すべてを優しく包み込むように笑った。
その笑顔になんだか少し心が救われたような気がした。
そっか……。好きでいることくらい許されるよね。



