「お前ら相変わらずだな。
いつの間にまたそんなに仲良くなったわけ?」


健吾が呆れたように笑う。
サキの隣で琴音が少し不服そうにしている。

いつからなんだろう。
サキとこうして昔みたいに話せるようになったのは。

一緒に海を見た日からだろうか。
いつからかわからないけど、いつの間にか私たちの距離は少しずつ戻ってきているように感じた。

だけど、琴音だけはいつまでたっても遠いままだ。


「俺らはいつだって仲良いよ」

「まあ……」

「あー、そうだったな」

「ねえ、咲都。早く行こうよ」


初めて琴音が言葉を発した。
だけど、そのときに気づいてしまった。

サキと話すのに夢中で気づかなかったけど、琴音の小さな手とサキの男らしい手が繋がれていることに。

胸が、変な音を立てていく。

嫌だ。

触らないで。

手なんて繋がないで。

どうしようもなく黒い感情がふつふつと湧き出して心の中を占領していく。