「ふふっ……ありがとう」
私たちを縛っていたわだかまりはするり、するり、と解けていった。
それから数分間、二人で他愛もない話をしながらサキと琴音が来るのを待っていると少し遠くの方からこちらに手を振っている男女がみえた。
近くに来なくてもわかる。
────……サキと琴音だ。
ドクン、と鼓動が大きく跳ねる。
「来たみたいだね。
大丈夫なの?まだ咲都のこと好きなのに」
「大丈夫……だと思う。
やばくなったら帰るからフォローしといて」
「はいよ」
正直、花火を見終わって家に帰るまで耐えられる気はしないけど、どうせサキと琴音の二人で回るなら私は健吾と二人になるから嫉妬心とかは抱くことは少ないはず……。
「よっ、遅くなって悪い」
サキが悪気がなさそうに謝る。
謝る気ないでしょ。
「ほんとだよ。一分遅刻」
「一分くらいよくね!?
60秒だぞ!?」
「あれ?言い訳するの?
何買ってもらおうかなあ〜たこ焼きもいいなあ」
「嘘です。遅刻してすみません。
次から気をつけます」
「それでよし」
本当にサキって単純だ。
だけど、私だって本気で奢ってもらおうとか考えてないよ。



