「なにそれ」
「絶対似合うからさ」
「そんなこと言ったって着ないよ」
「えー、ケチだなあ」
だって、どうせ一緒に居られないのが分かっているのに浴衣を着ていつもよりも少し綺麗になれたとしてもすぐにサキは彼女の元に行っちゃうじゃん。
そんなの……そんなのやだよ。
寂しくて、辛くて、苦しいのが目に見えている。
「まあ、当日楽しみにしてるよ」
「まだ行くって言ってないんだけど」
「どうせ来るだろ？」
「まあー……」
「なら、決まりだな」
勝手に決めないでよ。と言いたいけど一人で行くのもそれはそれで寂しいから四人で行くか。
しかも、すぐに健吾と二人になるだろうしそれならサキと琴音がラブラブしているところを見なくても済む。
「仕方ないなあ」
「ぷっ、ほんと素直じゃねえな」
「うるさい」
私がふてくされていると、サキの肩が微妙に揺れている。
きっと、ふてくされている私をみてクスクスと笑っているんだろう。
