それでもキミが好きなんだ




「落としたら承知しないからね」

「うひゃあー、相変わらず怖えな」


そんなことを口では言いながらも、ケタケタと楽しそうに愉快な笑い声を上げているサキ。

海が、風が、空が、優しく私たちを見守っている。

大自然の中を駆け抜ける私たちはまだ子供で自分一人だけの力では生きてはいけない。
大人の力を借りて、生きている。

17歳。

まだ、私は子供なのに大人のような扱いをされるときもある。

世の中はよくわからない。
だけど、きっと強く生きていかなきゃいけない。

大丈夫。今の私にはサキがいるから。
たとえ、他の誰かの恋人でも……それでもいいからそばにいさせて。


「なあ、ナツ」

「なに?」

「俺とナツと健吾と琴音で花火大会行かね?」


その言葉に私は驚きで言葉を直ぐに返せなかった。
だって、てっきり琴音と二人で行くと思っていたから。
花火大会とは八月のお盆休みにあって、たくさんの人たちが訪れる。
田舎町で指三本に入るほどのビッグイベント。


「……いいの?」

「あったりまえじゃん」


あんたはよくても琴音は嫌かもしれないじゃん。
本当にそういうところは呑気なんだから。