それでもキミが好きなんだ




「ほんとは嬉しいくせに」


俺には全部わかってる、とでも言いたげにそう言うと勢いよくペダルを漕ぎ始めた。

頬を撫でる風がとても心地よくて、夢でも見ているような気分になる。
サキには彼女がいるってわかっていても、どうしようもないほど好きでしかたない。


「そんなこと言ってないでちゃんと運転してよね」


ねえ、サキ。

知ってる?

大好きな人からの「可愛い」って言葉がどれほど嬉しくて舞い上がってしまう言葉なのか。


「はいはい。つーか、転けるわけねえだろ?」


「俺を誰だと思ってんの?」と得意げに言い放つサキ。


確かにサキは私と二人乗りをして一度も転けたことがない。
運動神経がいいというのもあると思うけど、たぶん優しいサキのことだから私に怪我をさせないように誰か男友達に手伝ってもらって練習したんだと思う。

自惚れだと思われたって構わない。
今日くらい、許してよ。