「俺にとっても宝石よりも大切だよ」
優しく目を細めて笑うサキが愛おしくて、鼓動が加速していくのがわかる。
そういうのは、ズルいんだよ。
彼女がいるくせにどうしていつも私のことを惑わすようなことを言うの?
「一緒だね」
「おう」
潮風が私たちの髪をさらって、なびかせる。
目を閉じれば三年前に戻れるんじゃないかと思ってしまうほど鮮明に覚えているあの頃を。
すべてを失うことをわかっていて、それでもサヨナラが言えなかったあの夏を。
「ごめんね。突然いなくなって」
ずっと謝りたかった。今しか言えないと思った。
私が突然謝ったからのかサキは目を丸くしてこちらをみた。
「ほんとにごめん」
「なんでナツが謝んの」
優しく微笑みながら私の頭に手をポンッと置いて言ったサキ。
……もっと怒っていいのに。
私は最低なことをしたのに。
「だって……」
「もういいよ。またこうして会えてんだから」
どうしてそんなに優しいんだろう。
そんなに優しくされるとこの気持ちを捨てることが出来ない。もう、サキから離れられなくなる。
好き。大好き。
言葉にできればどれほどいいんだろう。どうしようもないほど溢れ出すこの想いを青く輝く広大な海に全部流せたらいいのに。



