「まだ持ってたんだね」
「あたりまえだろ」
サキのことだからなんとも思わずに捨ててしまっているかと思っていた。
私だけが未だに持っているものだと思っていたんだ。
「なあ、覚えてる?」
「なにが?」
「俺がこのビー玉をお前にあげたとき、お前が俺に言った言葉」
優しいひだまりのような眼差しでビー玉を見つめながサキは言った。
「……覚えてるよ」
それは私がサキとビー玉を交換した時のこと。
私はサキからビー玉を交換出来た事が何よりも嬉しくてずっと見つめていたんだ。
そんなサキが私をみて『そんなに嬉しいのか?宝石でもあるまいし』といった。
私はその言葉に『このビー玉はね、私にとってどんな宝石よりも価値があって大切なんだよ』と返した。
だって、好きな人との思い出が詰まったものなのだからどんなに高くて綺麗な宝石よりも私にとってはこんな小さくて少しソーダの匂いがするただのガラス玉が宝物に思えたんだ。
「あれ、めっちゃ嬉しかった」
「なんか今思い出したら私すごくクサいこと言ってたね」
思わず、笑ってしまった。
偉そうに語っちゃったんだよね。
「確かにな。でもナツらしいと俺は思うよ」
「なにそれ」
「褒めてやってんの」
「超上からじゃん」
「気にすんな」
気にするよ、バーカ。
サキのことならなんでも気になっちゃうんだよ。
そんなのことサキは何一つ気づいていないんだろうけど。



