「おっ、ナツもラムネ買ってきたんだ。俺もだよ」
満面の笑みで自分の買ってきたラムネを見せてくる。
ラムネまで……本当にこの男はずるいよ。
どこまでも私を舞い上がらせるんだから。
手慣れたようにラムネの飲み口を塞いでいるビー玉をストンと落とすサキ。
それを見て私も買ったまま放置していたラムネのビー玉を落とした。
「テストお疲れ様ー!」
「おつかれ」
果てしなく広がる海を前に私たちがラムネの瓶で乾杯をした。
カランと可愛らしい音を奏でてそれは波の音と混じり消えていった。
だけど、私の胸の高鳴りは消えてはくれない。
胸の高鳴りをかき消すようにグイグイとラムネを喉に流した。
サキも喉が渇いていたのか同じようにグイグイ飲んでいる。
渇いていた喉がひんやりと冷たくなる。
またこうしてサキもこの海の前でラムネを飲めるなんて思いもしていなかった。
「ぷはーっ!やっぱナツとラムネ飲むと普段よりも百倍美味い!」
「大袈裟だなあ」
「マジだって!
一人より二人だろ!」
「じゃあ、琴音と来たらよかったじゃん」
私ってなんでこんなにひねくれた言い方しかできないんだろう。
こんなの琴音への嫉妬じゃん。
「バーカ、お前とくるからいいんだろ」
「え?」
予想外の言葉にまた鼓動が大きく高鳴る。