『ガ、ン、バ、レ』


「ワレワレハウチュウジンみたいに言わないでよ」


思わず、吹き出してしまった。

だけど、どんな人の言葉よりもサキのたった一言だけでこんなにも力が漲ってくるのだから好きな人の力は改めてすごいと感じた。


『やる気出ただろ?』

「まあね」

『さあー、俺は寝ようかな』

「テストどうなっても知らないよ」

『ナツも勉強ばっかしすぎて体壊すなよ』


こんなに小さな気遣いでもときめいてしまう私の心は本当に単純。自分でも呆れてしまうほどに。


「わかってるよ」

『んじゃあ、おやすみ』

「ん、おやすみ」


もう切れてしまうのか……名残惜しいな。
もう少しだけ、サキの声を聞いていたい。
ひとりじめしていたい。


そんな気持ちを抱えているからなのか、なかなか電話を切ることが出来ない。