それでもキミが好きなんだ



「あっつ……」


心のどこかに黒い塊を抱えたままぽつり、と静かに呟いた。

いくら春だといっても体育館は蒸し暑い。

むせるような暑さが体中から汗を流させる。

ふと、視線をサキのほうに向けてみると心底楽しそうにボールを巧みに操り、体を回転させながら相手を華麗にすり抜けていく。それは一瞬でまるで魔法にかけられているかのように思える。

やっぱり……サキはすごい。

サキならきっと全国大会に出場できたんだろうな……本当にずっとバスケをやっていたのかな?

シュートを決めたサキと目が合った。すると彼は何を思ったのか白い歯を見せて私に最高のVサインを向けた。

無意識に私もVサインを返していた。
私は一体……何をしているんだろう。

どうしたらサキのことを考えなくて済むんだろう。どうしたら琴音を傷つけずにいられるんだろう。

わからない。わからないよ。