「……なんか、夏葵っていつまでも変わらないね」
「え?」
「昔から私のことを助けてくれる」
なんとも言えないような表情を浮かべてぎこちなく笑った琴音。
きっと彼女の心の内も私と同じように複雑なんだろうな。
私たちは一年ほどしか一緒にいなかったといってもお互いをさらけ出した中なのだから良心が痛まないはずがない。
かといって、すべてを諦めてまで繋ぎたい止めたい、とはどちらも言えないので純粋で綺麗な関係ではないのかもしれない。
「そうかな?もう忘れちゃった」
忘れてはいないけど、忘れたフリをするのが一番いい。お互いにとって思い出すのは辛いだけなのだから。
それはもう昔のようには戻れないことが分かっているから。
「うん…朝のことだって…」
「あれはいいってば。
ていうか、私バスケしてくるから」
このまま琴音と話していてもどこか心がむずがゆくていい心地はしないので逃げるようにそう言い残して、ダンダンと音を立てながらゴールに向かって走った。
サキも健吾も琴音も、みんな何も知らなくていい。
私がこの三年間をどう過ごしていたのかなんてみんなには関係のないことだから。
私の放ったボールは綺麗に弧を描いてゴールへと飛んでいったけど、ゴールリングに嫌われた私のボールはリングに当たったガタンと無残な音を立ててダーンダンッと床にバウンドした。それは今の私のように思えた。



