その日の夜、美都は冷蔵庫から昨日作ったオレンジのコンフィチュールを取り出した。

「ベタベタしていないし、色が透き通ってキレイだ。

うん、大丈夫だ!」

我ながらよくできたオレンジのコンフィチュールに、美都は首を縦に振ってうなずいた。

後はチョコレートでコーティングをしてトッピングをすれば、オランジェットの完成だ。

細心の注意を払いながらチョコレートのテンパリングを終えると、美都はスプーンでチョコレートをすくった。

「特に異常はなし…と」

美都ははあーっと、深く息を吐いた。

以前にも2回ほど作ったことがあったが、オランジェットはどうしても神経を使ってしまう。

(今回はなおさら、だよね…)

成孔に美味しいオランジェットを食べてもらいたいと言う一心で、美都はバッドのうえにクッキングシートを敷いた。