「七夕祭りで一緒だった例の人と何かあったの?」

そう聞いてきた沙保に、美都はギクッと躰が震えた。

(沙保ちゃん、鋭い…)

美都は心の中で呟くと、椅子から腰をあげた。

「特に何にもないよ。

沙保ちゃんこそ、玉村さんとはどうなったの?

何か進展があったの?」

ごまかすように質問をした美都に、
「いやいや、私は関係ないでしょ」

沙保は言い返した。

いつもは冷静な彼女がどこか動揺している。

(これは何かあったんだな)

美都は心の中で呟くと、首を縦に振ってうなずいた。

「それよりもお昼が終わっちゃうわよ」

そう言って先に進んだ沙保に、
「待ってよ、沙保ちゃーん」

美都は長身の彼女の背中を追いかけた。