「か、彼氏って…」

ストレートに聞いてきた由真に美都はどうすればいいのかわからなかった。

「違うんですか?」

首を傾げた由真に、
「ち、違う…のかな?」

美都は返事をすることしかできなかった。

「違うって…」

その答えに対して由真は呆れたと言うように息を吐いた。

「まあ、今はいいです。

それじゃあ、よろしくお願いしますねー」

由真は美都に手を振ると、デスクの前から立ち去った。

(彼氏か…)

――早く美都が俺のものになって欲しい

七夕祭りで言われた成孔のセリフが頭の中でよみがえって、美都は自分の頬がだんだんと熱を持ち始めているのがわかった。

デスクのうえのスマートフォンに視線を向けたけれど、成孔からの返事はまだきていないようだった。