「な、何でって…！」

自分でも何を言っているのか、訳がわからなくなってきた。

「そ、そんなことを言われて勘違いをする人がいたらどうするんですか…？

自分に気があるんだって思っちゃいますよ…！？」

彼の前にいると調子が狂ってしまうのは何故だろうか？

自分は自分のはずなのに、彼の前に立つと違う自分になってしまう気がするのは自分の気のせいだと信じたい。

「思っていいよ」

成孔が言った。

「えっ？」

そう聞き返した美都に、
「俺は美都に思って欲しい」

成孔が答えた。

「美都の頭の中が俺でいっぱいになって欲しい」

「あっ…！？」

（自分でそのセリフを言って恥ずかしくないんですか！？）

美都はパクパクと金魚のように口を動かすことしかできなかった。