「何だ?」

そう聞き返した元治に、
「少しの間だけ、美都ちゃんと2人だけでお話していいですか?

終わったら、俺が家まで送りますので」

成孔が言った。

「えっ…!?」

言われた美都は戸惑った。

(私と話がしたいって、何で…?)

それが成孔にとってどんなメリットになるのか、美都には思い浮かばなかった。

それに対して、元治は困ったと言うように父親に視線を向けた。

「まあ、いいんじゃないか?」

元治からの視線を受けた父親はそう言った。

「美都」

元治は美都を呼んだ。

「有栖川くんに何かされたら呼べ、兄ちゃんがぶん殴っとくから」

そう言った元治に、
「あ、うん…」

美都は首を縦に振ってうなずくことしかできなかった。