アスカラール

「行きましょうか」

真生に声をかけられて、美都は椅子から腰をあげた。

店を後にして車に乗ると、
「今度は有栖川の元へ送り届けますから」

真生が声をかけてきた。

「ありがとうございます…」

美都はお礼を言うと、窓の外に視線を向けた。

窓に映っている自分の姿に驚いたが、それは一瞬のことだった。

(成孔さん、似合うって言ってくれるかな?)

誕生日にドレスアップして彼の元へと向かっていることに、自分の中が期待でいっぱいなことに気づいた。

「到着しましたよ」

真生に声をかけられて車を降りると、ホテルのエントランスだった。

(ここって、『エンペラーホテル』だよね?)

高級ホテルとしてテレビや雑誌で紹介された有名なその場所に美都は戸惑った。