アスカラール

「えっ?」

美都は驚いた。

「どうかされましたか?」

そう聞いてきた彼女に、
「雑賀って、名字なんですか…?

私、てっきり名前の方かと思って…」

美都は言った。

「…聞きなれない名字ですから、そう言われてもそれは仕方がありませんね」

真生はやれやれと言うように息を吐くと、眼鏡をずりあげた。

(有栖川は彼女のどこを好きになったと言うのかしら…?)

確かに容姿は人形のように愛らしくて整っていて、体型は小柄で華奢だ。

真っ直ぐに伸びたストレートの黒髪は同性の視点から見たらとてもうらやましいくらいだ。

(だけども、性格の癖がとてもすごい…)

成孔から彼女の家庭事情を多少聞いたと言えば聞いたのだが、思った以上の性格のすごさに真生は戸惑うことしかできなかった。