ある日のこと。オレ、蒼 波瑠(16歳)は寝坊した。
オレを起こしたのは覚えのない声。

「ねぇ、起きて。」

ただそれだけの簡単な台詞に起こされて、オレは目を開けた。
自室の机の真反対に置かれたベットに寝そべったまま、枕元にある時計に目線を移すと、時刻は8時を過ぎてしまっていた。

「うぁぁ!嘘だろ!?」

オレは飛び起きると学校に行く準備を整え、家を飛び出した。
家の前の坂を下り、海岸沿いの道を走っていく。家から学校まで、全力で走れば15分で着く。オレはとにかく全力で走った。
ふと、オレは、海へと突き出した、大きな枯れかけの桜の木がある崖の上に人影を見つけた。それはおそらく、オレと同じくらいの年であろう女の子だった。
今にもこの青い深い海に飛び込みそうな、そうでもないような、そんな雰囲気のその子。
ほうっておけばいいものを、オレはその子が気になったのか、崖の上へと足を進めた。
崖の上まで登ると、オレはその子に近ずいた。

「なに、してんの?」