結局その試合をずっと釘付けで見ていた私。
気づいたら、私たちの試合が始まる時間になっていた。
うなだれてる香織を無理やり立たせてグラウンドへ連れて行く。
それでもまだあの人の試合を横目で見てしまう。
「由衣!始まるよ!」
いつのまにかいつも通りの明るさを取り戻していた香織の声ではっとした。
「はーい!頑張ろう!」
そう意気込んで始まった試合だったが…。
結果は3回戦敗退。
まぁ頑張った方かな…。
「あー!悔しいよー!」
優勝を目指していた香織は負けず嫌いみたいで、ずっと悔しがっている。
「頑張った方だと思うよ?ほら、みんなの応援行こう?」
少しでも気分を上げるため、クラスの応援に連れていく。
「あ、ちょうど男子のサッカー準決勝やってる!」
香織が言う方に目を向けると、クラスの子が何人か集まって来ていた。
急に明るさを取り戻し、私の手を引っ張る香織。私はこの子にどれだけ振り回されるのだろう。

