それに高峰くんなら、いざとなれば、ジロのむちゃぶりを一緒に切り抜けてくれるかもしれないし。


高峰くんに恋するかしないかは置いておいて、今のこのピンチを回避するには、これしかない!!



「する!」



テーブルに手をつき、身を乗り出す私に3人とも目を丸くする。



「私、高峰くんに恋したい!!」



一瞬、ジロの眉がピクッと上がった気がした。


だけど、今の私はそれどころじゃない。


今目の前に立ちはだかるこの難題を、ただちに回避することしか考えられないんだ。


そんな私を前に、高峰くんはふっと表情を緩めると。



「うん。俺も美恋ちゃんに恋してもらえるよう、精一杯頑張るね」



そう言って嬉しそうに笑った。












高峰くんと幸とは駅で別れて、帰り道はジロと二人きりになった。



「……」


「……」



な、何なのこの気まずい雰囲気……。



恋活会議の後から、ジロはなぜかずっと不機嫌で、電車の中も道中も全く話しかけてこなかった。


それどころか、ジロの眉間にはずっと深いしわが刻まれてる。



一体どうしたっていうんだ……。



家の近くの住宅街を歩く頃にはすっかり辺りは暗くなっていた。