それに高峰くんなら、いざとなれば、ジロのむちゃぶりを一緒に切り抜けてくれるかもしれないし。
高峰くんに恋するかしないかは置いておいて、今のこのピンチを回避するには、これしかない!!
「する!」
テーブルに手をつき、身を乗り出す私に3人とも目を丸くする。
「私、高峰くんに恋したい!!」
一瞬、ジロの眉がピクッと上がった気がした。
だけど、今の私はそれどころじゃない。
今目の前に立ちはだかるこの難題を、ただちに回避することしか考えられないんだ。
そんな私を前に、高峰くんはふっと表情を緩めると。
「うん。俺も美恋ちゃんに恋してもらえるよう、精一杯頑張るね」
そう言って嬉しそうに笑った。
*
高峰くんと幸とは駅で別れて、帰り道はジロと二人きりになった。
「……」
「……」
な、何なのこの気まずい雰囲気……。
恋活会議の後から、ジロはなぜかずっと不機嫌で、電車の中も道中も全く話しかけてこなかった。
それどころか、ジロの眉間にはずっと深いしわが刻まれてる。
一体どうしたっていうんだ……。
家の近くの住宅街を歩く頃にはすっかり辺りは暗くなっていた。



