「からかってなんかない」



ジロからゆっくりとこちらに視線を移す高峰くんにドキッとする。


あまりにも真っ直ぐ見つめてくるもんだから、目をそらすことすらできない。



「他の誰かじゃなく、俺を好きになってよ。美恋ちゃん」


「え……あ……」


「俺が、そうして欲しいんだ」



高峰くんのこんな顔初めて見た。


いつも穏やかな笑みを浮かべているその表情はいつになく真剣で、真っ直ぐで。


ただ見つめられているだけなのに、心臓がおかしくなってしまいそう。



うわーうわーうわー!


この雰囲気は一体何!?


高峰くんは、何で突然こんなことを言い出したんだろう?



そう考えてはっとする。



も、もしかして!


高峰くんてば気が利くから、ジロのむちゃぶりにうんざりしてる私のために、あえて自ら立候補してくれたのかも!!


今から恋する相手なんて見つけてたら途方もないもん。


恋活なんて一生終わらないって、高峰くんもきっとそう思ったに違いない!


そうだよね!


ここで恋する相手を高峰くんにしておけば、とりあえずこのミッションはクリアできるわけで。


何より、高峰くんなら絶対の安心と信頼が保証されている!