「え?何でそこで椎名先輩?」


「だってほら、女の子の扱いも慣れてそうだし、恋愛初心者の美恋をしっかりリードしてくれそうじゃん。何よりイケメンだし」



た、確かに、女の子の扱いには慣れてそうだった……気がする。


告白を断る私を前にしても、全く動じた様子もなく。



『すぐにとは言わないよ。だけど、これからは俺のこと少しは意識して見てみてよ』



と、余裕たっぷりの笑みを浮かべていたのが印象的だった。


恥ずかしくて俯いてばかりいたから、あんまり顔は見えなかったけど、イケメンと言われれば……確かにそうだった気もするし。



「とりあえず、付き合ってみるとかどう?」


「付き……!?」



幸に何を言ってるんだ!と反論しようと試みれば。



「ダメだっ!!!」



そんな私よりも先に、私の横でジロが立ち上がった。


そのあまりの勢いに、テーブル位置がギッという音を立ててずれる。


驚いてジロを見上げると、ジロはなぜか切羽詰まった表情をしていた。



「ジロ……?」



私がそう呼ぶと、ジロがはっとしたように目を見張る。



「何で元木がダメとか言うわけ?」



ニヤケながらそう言う幸に、ジロはバツが悪そうに視線を泳がすと。