「ないないないない!!こんな大食らい、全然タイプなんかじゃない!!」



そう幸に力説している間も隣から嫌な視線を感じて、私は恐る恐るその正体を確認する。


案の定。


私の横でテーブルに頬杖をつきながら、ジロがニヤニヤといやらしい笑みを浮かべていた。



「へぇ〜!美恋は俺みたいのがタイプだったのかぁ」


「だからっ!違うって言ってるでしょ!?!?」



確かに、ジロと一緒にいるのは楽しい。


うん。それは認める。


そりゃ小さい頃から一緒にいるんだもん。


一緒にいて楽だし、お互いのことなら手に取るようにわかるし、笑いのツボも確かに一緒だ。


だけどっ!!!


これは断固タイプとかそんなんじゃないっ!!



「大体!鼻の頭にケッチャップついてるのに気づかないようなおバカは、絶対無理だからっ!」


「はぁー?そんなバカどこに……って俺か!!」



慌てて鼻の頭を手の甲で擦っているジロを横目に見ながら、大きな溜息が漏れてくる。



こんなおバカが私のタイプなわけがない。


幸ってば、面白がって変なことばっかり言うんだから!



「うーん。じゃあさ、もう手っ取り早く、椎名先輩とかでいいんじゃない?」