「おっきな溜息だね」


「!……高峰くん」


「おはよう。美恋ちゃん」



おぉ!


相変わらず、なんて爽やかな笑顔……!!


ポケットに手を入れたまま、コテンと首を傾げているのは相も変わらずマイナスイオンを放っている高峰くん。

そんな高峰くんの周りでは、女子生徒達が頬を染めがら一斉に色めき立っている。



どうして私の周りには、こんなキラキラした人ばっかいるんだろか……。



「おはよう。高峰くん、いつもこの時間なんだね」


「部活の朝練ない日はね。そういう美恋ちゃんは、今日は少し早い?」


「うん。今日は、ジロの自転車の後ろに乗っかって来たから。思ったより早く着いちゃったみたい」


「ジロの?あれ?じゃあ、ジロは?」



キョロキョロあたりを見回す高峰くん。



「茅野さんと一緒に来るんじゃないかな。駐輪場の近くで会ってさ」


「……なるほど」



ローファーを下駄箱にしまい、高峰くんと一緒に教室に向かう。


何となく浮かない気分なのは、きっと単語のテストがあるからだよね。


決して、ジロのせいなんかじゃないんだから。



ジロと茅野さんが楽しそうに会話している姿が浮かんできて、胸の奥に針で刺されたようなチクッとした痛みが走った。


それを振り払うように頭を振って、高峰くんに別の話を振ろうと顔を上げる。