「仁郎は、美恋ちゃんを置いていったりしないよ。多分今も、美恋ちゃんと足並み揃えて歩くために一生懸命なんだと思う。あの時そうしたみたいに。だからさ、恋活とか嫌かもしれないけど、ちょっとだけあの子に付き合ってやってくれないかな」
「……」
私だって、ジロとずっと足並み揃えて歩けたらって思ってる。
私達が10年間で築いた絆を、恋したくらいで乱されてたまるかって。
私はジロと、10年後も20年後もバカやって笑ってたい。
だって、私はやっぱり、ジロといるのが一番楽しいんだ。
……私がジロと同じように恋すれば、これからもずっと一緒にいられるのかな?
「一花ちゃん……。もう一度、メイクについて教えてくれる?今度は、ちゃんと聞くから……」
ジロが変わろうとしているのなら、私も変わればいいんだよね?
誰かを好きになって、恋をして。
そうすればずっと、これからもジロの隣にいられるんだよね?
だったら、私も変わりたい。
ちゃんと誰かに恋をしたい。
置いて行かれるのが嫌なら、追いつけばいい。
足並み揃えて歩けるよう、歩み寄ればいい。
「もちろんだよ!」
昔、ジロがそうしてくれたみたいに。