恋ってやつを教えてやるよ。


だから、ちょっと新鮮な気持ちがあるのも嘘じゃない。


だけど、やっぱりものすごく違和感。


こんなの、ジロ達に見られたら絶対笑われる!!



「学校の日でもできるナチュラルメイクのコツとかも教えてあげるね!」


「あ……でも一花ちゃん、私、その……本当にそういうの全然興味なくて……」


「いいからいいから!」


「ああぁ……」




その後も、一花ちゃんによるメイク講座はなわば強引に続き、気づけばお昼を回っていた。



「でね!こうすると優しい印象になってね────」



これ……いつまで続くんだろ……。



一生懸命説明をしてくれている一花ちゃんには申し訳ないけど、全く興味のないメイクうんぬんの話は、私にとっては子守唄でしかない。


夢の世界に手招きされていたその時。



────ピンポーン!



て、天の助け!!!



「ハイハイハーイ!」


「あ。コラ美恋ちゃん!逃げるな!」



逃がさまいと伸ばす一花ちゃんの手をかわし、軽快な足取りで玄関へと向かう。



「どちら様ですかー!」



ドアを開けると、本日2度目の驚きが私を待っていた。



「え。ジロ!?」



玄関前に立つジロは、なぜか驚いたように目を丸くして、私を凝視している。


お互い無言で見つめ合って数秒。