恋ってやつを教えてやるよ。


ピンクの頬。


プルプルの唇。


ただ切るのが面倒だからと、なんの手入れもせず伸ばしっぱなしだった髪の毛は、ゆるふわに巻かれてる。


さっきまで着ていたパジャマも脱がされ、一花ちゃんが私のためにと持ってきてくた、フェミニンなワンピース姿へと着替えさせられた。


あの……どちら様ですか……?


と鏡の中に問いかけたくなるくらい、私が私じゃない。



「仁郎から、美恋ちゃんが恋活に向けて自分磨きをするって聞いて、いてもたってもいられなくなっちゃってさ!美恋ちゃん地が整ってるから、前々から可愛くなると思ってたんだよね〜!思った通り!」


「は……はは……」



抵抗は試みたものの、一花ちゃんの強い押しに負けてしまった。


ジロといい、一花ちゃんといい、この姉弟、顔も似てるけど強引なところもそっくりなんだよね。



「これならきっと、男子の方が美恋ちゃんをほっとかないと思うよ」


「そんなことないよ……」



鏡越しに一花ちゃんにニッコリされ、私は苦笑いを返す。



確かに、いつもの100倍はましになったと思うよ?


本当誰?ってくらい可愛いくしてくれたと思うし、自分じゃ絶対にこんな格好はしないし。