片手を上げて玄関先に立つ彼女は、細身のスキニージーンズにダボッとしたニットカーディガンを着こなして、高い位置で結んだポニーテールを揺らしてる。


一瞬どこかのモデルさんが家を訪ねて来たのかと思った。



相変わらず、なんて美人なんだ……!!


ま、眩しい!!



「どうしたの?ゆう兄に用事?」


「違う違う!祐希(ゆうき)になんてこれっぽっちも用事なんてない」


「……一花ちゃん、ひょっとしてまたゆう兄と喧嘩した?」


「う……。あ、当たりです」



当たり前だけど、私とジロがそうなように、一花ちゃんとうちの上の兄──ゆう兄も同級生で幼なじみ。


そんでもってビックリなことに、高校時代から恋人同士で、すでに家族公認の仲だ。


この間お母さんが、大学を卒業したら結婚も秒読みなんじゃないかって言ってた。



結婚なんてすごいなぁ……。


私なんて、恋もしたことないんだよ?


結婚とか、検討もつかないよ。



ただ、うちのお兄と一花ちゃん、昔からちょっと面白くて……。



「あ」



私の後ろの階段から、私と同じようにパジャマ姿で大あくびしながら現れたゆう兄。