「誰がエロ大魔神だ誰が!!つか、お前に恋する気持ちの何がわかるんだよ!?」



何よ。


この間まで、ジロだって私と同じだったじゃない。


恋する人の気持ちなんて理解できないって、そう言ってたじゃない。


なのに、何で?


何で急に、恋なんてしちゃったの?



「わかるわけないじゃない!!どうせ私は恋なんてしたことないもんっ!!ジロの気持ちなんて、わかりたくもないよっ!!」



人目もはばからず、叫ぶように全てを吐き出し終えて、肩で息をする私。


眉間にしわを寄せて、地面に視線を落としたまま言い返してくる気配のないジロを前に、途端に後悔が押し寄せてくる。



……完全に言い過ぎた。


私、何をこんなにムキになってるんだろう?



「……ジロ……」



言い過ぎたことを謝ろうと、ジロに手を伸ばした時だ。



「……っ!」



ジロの鋭い視線が、私を捉えた。



「ジ……ジロ……?」



鋭い視線を私に向けたまま、ジリジリと歩み寄って来るジロの迫力に怖気づいて、ジロから逃げるように後ずさりする私。



「ちょ……ジロ……」



ついには、人気のないビルの影に追い込まれてしまう。