いや、そこは鐘の音だろ普通!この野球バカが!!っていつもならツッコミを入れてるところだったけど、今の私にはそんな余裕なんてなかった。
だってそれ……いわゆる恋に落ちた瞬間ってヤツでは……?
ということは、ジロは本当の本当に、茅野さんに恋をしちゃったの……?
状況を理解した途端に、胸のあたりがムカムカしてくる。
何だろこれ。
裏切られた感?
置いてきぼりをくらった感?
ジロが、私より先に恋を知ったことに対しての敗北感?
この気持ちがなんなのかわからないけど、気付けばジロに向かってそのムカムカをぶつけてた。
「そんな……楽しそうな顔しちゃってさ……」
「え?」
「恋なんかの、何がそんなに楽しいの?鼻の下伸ばして浮かれちゃって、ばっっかみたい!!」
そう叫ぶと、ジロがムッとした顔をする。
「お前なぁ!恋をしたら、毎日が薔薇色って言うだろがっ!今の俺はそんな気分なんだよ!恋も知らないお前にバカとか言われる筋合いないわ!」
「何が薔薇色よっ!ジロのくせにキモイから!!頭の中、万年ショッキングピンクの間違いでしょ!?」