休み時間に教室で、高峰くんを含め男友達とじゃれ合っていた時らしい。


じゃれ合うのに夢中になっていたジロは、後ろに人がいたことに気づかず、茅野さんとぶつかってしまった。



『ごめん!!大丈夫か!?』


『う、うん。大丈夫……』



転んでしまった茅野さんに手を差し出して、立たせるために腕を引っ張ったまではよかった。


何も考えず力を込めたせいか、ジロは加減を間違えて、強く茅野さんを引っ張ってしまったらしく。



『お!?』


『キャッ!』



勢い余った茅野さんが、ジロの腕の中に飛び込んできたという。



(……っ軽!女子ってこんな軽いわけ!?し、しかも、柔らか……)



『ご、ごめんね!元木くん!』


『い、いや、俺も力入れすぎた。……つか、ぶつかってごめんな!茅野ちっさくて全然見えなくて……って、あ』



(俺のバカ!小さいとか嫌味かよ!!)



『や、ごめん!小さいって別にそういうんじゃなくて……!』


『ふふっ』


『え?』


『元木くんて、面白いね』



そう言って笑った茅野さんの笑顔を見て、ジロの頭の中では甲子園のサイレンが鳴り響いたらしい。