「いくつか思い当たることだってあったでしょーに」



思い当たること……?


高峰くんは、確かに優しいし、気が利くし、頼りになるよ?


でも、それは私に対してだけではないし。


他の女子よりちょこっと仲良しかもしれないけど、それは私が”親友の友達”だからってだけだと思ってたし。


あ。親友ってもちろんジロね。


どう考えたって、幸の言う”思い当たること”なんて見当たらない。



迷走に入る私の様子を見て、幸は呆れたように溜息をついた。



「美恋は、国宝級に鈍いからなぁ〜」



国宝級!?


それってちょっと言い過ぎじゃない!?!?



「うぅ……」と唸り机に突っ伏す私を、幸は私の前の席に座り、ヤレヤレという顔で見下ろしてる。



「てかさ、美恋は何でそんな悶々としてるの?高峰くんに好きって言ってもらえて、むしろラッキーじゃない」


「えー?何でそうなるの?」


「だって、美恋はこれから高峰くんに恋をしようとしてたわけでしょ?高峰くんの気持ちはハッキリしたわけだから、美恋が好きになったと同時に両想いが成立するわけじゃない?私からすれば、どんな美味しい状況よって話よ」



た……確かに。