「いや……これ、歯型って言うか……キスマー……いや。いいや。やめとく。余計なことは言わないでおこう」


「へ?」


「ってか、一体どんな状況になったら、元木にこんなのつけられるの?」


「どんな状況って言われても……」



確か、次の恋活ミッションに備えて、なるべく高峰くんで頭をいっぱいにする努力をしてる……そんな話をしていた気がする。


そしたら突然ジロの表情が曇って……。



────『お前は、俺のなんだよ』



って……。



昨日のジロの言葉を思い出して、沸騰するみたいに頬が熱くなるのがわかった。



ジロのヤツ、何で急にあんなこと言ったんだろ?


あれじゃまるで、


“誰にも渡したくない”


……みたいな意味合いに聞こえなくもなくもない。


いや、どっちだ。自分で言っててわからない。



ジロはいつも、言葉のチョイスがおかしすぎるんだ!!



昨日の出来事をそのまま幸に話せば、幸は少し間を置いてから「……なるほど。ついにこの時がきたか……」とか、何やら意味がわからないことを言って考え込んでしまった。


どの時がきたって?


幸に尋ねようと口を開きかけた時だ。



「穂花それ可愛いー!」