気味が悪いっていうのは失礼かもしれないけど、なんとなく声、姿、雰囲気が人間ではないような気がした。



少し迷いながらも家に着いた。

携帯を開くと3時というデジタル文字。

あれ、そんなに時間経ってたっけ?

さっきのこともあって、なんとなく寒気がした。

きっと気のせいだよね。

赤い自転車を玄関の扉の横に置いて、私は深呼吸する。

「…ただいま!!」

奥の台所から「おかえり〜」と言うお母さんの声とこっちに近づいてくるスリッパの音。

「今日は講習だから、午前だけじゃなかったの?」

「友達と最近出来たカフェに行ってたの」

買ったばかりのまだ固いローファーを脱ぎながら答える。

そう言うとお母さんは安堵の表情。

「そっかそっか!…じゃあ学校の方も順調なのね!」

なんて、あの頃見せなかった嬉しそうな顔をするからまた私は笑顔をつくる。

「すごく楽しいよ!」

ずっと心配をかけてきたんだから、お母さんには、もうこれ以上心配かけたくない。

これが嘘だとしても。