すぐ近くにある人気のない資料室に真琴を連れて入った私は、周囲に誰もいない事を確認し、そっとドアを閉めた。


「真琴、真面目に話すわ」


「私はいつだって真面目だぞ」


どこがだよ。なんていつもの私ならツッコミを入れるのだろうけど、そんな暇はないのだ。
一人悶々とする私を見て、真琴はケラケラと笑い出した。


「優羽、分かっているぞ。朝からたくさんの女子に見られているのだろう?」


「そうなのよ!もうっ、あれ何なの? 私何かしたっけ?」


そう、これなのだ。何故だか分からないが、学校に到着してから女子生徒たちから見られまくっている。


「特にやらかしてないとは思うが…。学校中の男のハートを射止めているから怒っているんじゃないか?」


「そんなの知らないわよ! 男が寄ってくるんだからしょうがないじゃない」


私の美貌を羨ましく思い、羨望の眼差しを向けてきているのかと思いたかったが、そうではない。
彼女たちが向けてくる視線は、負の感情や邪なる何かが込められている。


「面倒な事が起きないといいが…」


「そう願うわ」


どうか、勘違いか思い過ごしでありますように。

そう願う私だったが、神様は意地悪だった。