そうして、迎えた翌日。いつも通りに真琴と登校した私は、昇降口に到着して早々にため息を吐いていた。
理由は一つ。男だけでなく女までもが私のことを見ているからである。


「優羽。お主はとうとう…」


「だから違うってば! 真琴の脳内はどうなっているのよ!!」


誠が言おうとしていることは、どうせよからぬことだ。女にモテて、そこから純白の花が咲く関係に…なんてことを考えていたのだろう。


「どうなっていると聞かれても、私は私のことが分からないのだ。そう、ドラ○もんに頼りたいくらいに…!」


「ちょっと、国民的人気アニメに謝りなさいよ」


自分のことが分からないとは由々しき事ではないか。
私なんて、このきめ細かい肌をつくる細胞の隅々まで自身のことを知りつくしたいと思っているのに…って、今はこんなことを考えている場合ではない。

私は自身に向けられる無数の視線を感じながら、真琴の腕を引いて歩き出した。


「おい、優羽!?」


「しっ、行くわよ」


「み、密室に…!? 破廉恥だっ」


何が破廉恥だ。
言い返す気力を失った私は、肩を落としながら足を進めた。