「うん、美人。可愛い、最高」


私、並木優羽はこの高校に通う、十七歳の乙女。

校内の99%の男子がコロッと恋に落ちる美貌の持ち主である。

残りの1%はというと…。


「キャー!!西園寺くーん!!」

「こっち向いてー!!」

「今日もかっこいいよー」


学園王子と呼ばれている、アイツだ。


「あああ憎らしい…」


「優羽、スマイルだ。すまーいるー」


黄色い声を上げている女子たちにふわりと微笑み、颯爽と歩いているあの男。

容姿端麗、成績優秀、スポーツ万能。

非の打ち所がない、我が校の王子様的存在である。

名を、西園寺 葵依(さいおんじ あおい)という。


「絶対にオトしてやる。そして振ってやるんだからっ…!」


そう、私はアイツをオトすべく狙っている。

数多の女を振っては泣かせてきたアイツに、仕返しをするために。