「ぷっ…」


【限定☆激酸っぱキャンディ】を口内に入れられてから僅か2分で吐き出した私を見て、西園寺が吹き出した。

くそぅ、何なんだよ西園寺め。


「こ、こんなの食べ物じゃないよ!西園寺くん!」


「ははっ、面白っ…」


可愛く怒る私とは反対に、西園寺は面白おかしそうにお腹を抱えて笑っている。

全く、どうしてこんなことになったんだ。

私は西園寺の前で腕を組んで仁王立ちをしながら、ふいっと顔を逸らした。


――そう、事は十数分前に戻る。


『――一緒にサボろう』


昼休み終了の鐘が鳴り響いた後、西園寺はそう言うなり私の手を引いて走り出した。

途中で売店に寄ると、私が好きなメロンパンと洒落たサンドイッチを買い、再び走り出して。

何処に行くのかと問いかける間もなく辿り着いた先は、誰もいない屋上だった。

そしてその一角に腰を下ろすと、「ご飯を食べよう」とメロンパンを差し出してきて。



『……え?さ、西園寺くん、授業は…?』


『うん?俺、サボろうって言ったよね?』